税理士の経営・財産・相続トピックスVol.029「税制改正」
平成28年度の税制改正大綱が公表されました。今年度の税制改正は消費税増税の前年度ということもあって、軽減税率議論が主となり、内容的には小幅なものです。
しかし、その中にはいくつかの重要なメッセージがあります。
法人税率を、23.9%から23.4%に引き下げ、大法人における事業税所得割税率を6%から3.6%に引き下げるとされています。大法人においては、実行税率が32.11%から29.97%に引き下げられる計算になります。
一方、平成27年分以後の個人所得税率は、所得税・住民税・復興特別所得税合わせて最高55.945%に引き上げられました。
消費税は、平成29年4月以降10%に増税となります。
法人に利益を残せば税制優遇が最大に得られるということになります。言い換えれば、利益が充分に計上できる経営者は国としてどんどん支援しましょう、利益を計上できない経営者は、支援しませんよということです。
しかしながら、働いて半分以上税金では、超突出した能力を持つ経営者やプロフェッショナルは海外流出します。富裕層の税率を上げても税収には影響しません。何を見ながら個人所得税率を上げているのか、という声が聞こえてきそうです。
考えてみると、日本の医療をはじめ高度な技術と高い品質は、日本古来の独自文化と日本人の真面目さに支えられてきました。企業も国家もそれに甘えてきました。我々市民も大きな傘の下に甘えてきました。
企業も国家も、また我々市民も、お互いに甘えから卒業しなければ後が無い段階まで来てしまっているのでしょう。
(2016年2月1日 税理士法人日本経営 代表社員税理士 丹羽修二)
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